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      03.西南民族の分類と分布



第三節:西南民族の分類と分布

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目次
01.「蔵彝走廊」と「中華民族多元一体構造論」
02.「イラン語派の系統樹」から見えるもの
03.「蔵彝走廊」地図に見る移住経路
04.中国西南23民族の言語分類&明細表

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  1.「蔵彝走廊」と「中華民族多元一体構造論」

この中で今回のテーマに直結しているのが、費孝通氏で、彼が発表した「蔵彝走廊」という概念、並びに彼が唱えた「中華民族多元一体構造論」です。

「蔵彝走廊」とは、中国の歴史、民族、文化に 関する新たな区域概念です。

費孝通氏は、中国全土を①北部草原、②東北部高山森林、③西南部青蔵高原、④雲貴高原、⑤沿海、⑥中原の6区域と、周辺部を縦断する蔵彝走廊、西北民族走廊、南嶺走廊の3つの「走廊=回廊」から形成されるとして、「走廊」に居住する民族の流動性や多様な歴史文化の蓄積を指摘しました。

蔵彝走廊は、地理的には四川、雲南、西蔵の3省が隣接する山脈部と高山峡谷部からなる横断山脈区域で、①岷江、②大渡河、③雅礱江、④金沙江、⑤瀾滄江、⑥怒江の6大河が南北に貫流しています。

厳密にいえば、青蔵高原東部の高山峡谷区、河西北高原区、滇西北横断山脈地区高山峡谷区と滇西高原区の一部であり、行政的には四川省の甘孜蔵族自治州、阿壩蔵族羌族自治州、涼山彝族自治州と攀枝花市、雲南省の迪慶蔵族自治州、怒江䍽䎈族自治州と 麗江市、西蔵自治区の昌都地区が含まれます。

そこには、シナ・チベット語群、チベット・ビルマ語系のチベット語支、チャン語支、イ語支に属する言語をもつチベット族(藏族)、イ族(彝族)、チャン族(羌族)、ペー族(白族)、ナシ族(纳西族)、リス族(傈僳族)、プミ族(普米族)、トールン族(独龙族)、ヌー族(怒族)、ハニ族(哈尼族)、ジノー族(基诺族)、ラフ族(拉祜族)などの民族集団が居住しています。

総人口 1000余万人のうち約530万が少数民族、残りの470万人が漢民族です。
歴史的には、チベット・ビルマ語系の諸民族が南下した後に、北上してきたミャオ・ ヤオ語系の民族と接触して融合した地域であるとされています。
蔵彝走廊は、四川省の少数民族地域や雲南省西部をほぼ覆い、そこに居住する個々の民族集団に加えて、民族集団間の交流や文化の受容などを研究する上で有効な概念であるといえます。

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  2.「イラン語派の系統樹」から見えるもの

ウィキペディアの「系統樹」の挿絵に、系統図が掲載されていました。
「系統樹」とは生物の進化過程で、樹木の幹から枝が生え、各々の枝が更に伸びて細い枝を作る姿を描いたもので、下から上へと時が流れます。

但し、この図に説明がない場合に、上から下への流れを見て、河の上流から下流への流れとも見えます。
また、下流に自分がいるとすると、自分の数多くの祖先から多くのものを受け継いで、自分がいる気がします。
遺伝的要素もその一つです。

費孝通氏の「中華民族多元一体構造論」も、かつての数多くの民族を「中華民族」に集約していく議論ということも出来ると思います。

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3.「蔵彝走廊」地図に見る移住経路

チベット・ビルマ語系の諸民族は 「蔵彝走廊」 を南下しました。
この背景に、農業の発展があり、言語もそれに伴い広まっていきました。
そして、南下したチベット・ビルマ語系の諸民族は、北上してきたミャオ・ ヤオ語系の民族と融合し、西南23民族として拡がっていきました。
「蔵彝走廊」は、「茶馬古道」とも呼ばれ、シルクロードと同様に、交易路として使われてきました。

漢民族の祖先は「北京原人」ではなく、アフリカから約6万年前に東アジアにやってきた人々の一部であり、「蔵彝走廊」も通ったに違いありません。そして、約4000~6000年前に中国北部の黄河流域に登場したとする考え方が有力です。

農業の発展とともに、漢民族も中国大陸を南下することになります。
漢民族との関係で、西南23民族は移住を余儀なくされることになります。
 

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04.中国西南23民族の言語分類&明細表

この言語分類は、西南23民族の言語を大中小の分類で列挙したものです。
これらの言語を話す民族は、その言語の名前で仕分けされています。
以下、西南23民族については、この順番で述べていきたいと思います。

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