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          01.はじめに



第一節:はじめに
目次
01.『民族』の「自称」
02.『民族』の「他称」
03.アイヌ民族
04.参照データ

01.『民族』の「自称」
『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』
これは有名なポール・ゴーギャンの絵画の題名ですが、この自問は、問う人▲の性別、年齢、国籍、民族、時代を問わず、問題となるものです。

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『我々』とは、自問する人が仲間と思っている人の集団であり、いわゆる『民族』の場合があります。『民族』の定義は次の通りです。
「言語・人種・文化・歴史的運命を共有し、同族意識によって結ばれた人々の集団」

「民族」の文字の成り立ちは、『民』とは当初は、目を差され失明させられた奴隷をさし、後に権力者の支配下に置かれた人々を指します。
▲『族』とは『旗印+矢』で、旗印の下に弓矢を携えて一堂に会し、一族の結束を確認する儀式、とも言われています。
「言語・人種・文化・歴史的運命」は個人が意識する以前の所与のもので、その最たるものが「国籍」です。
自発性とは無縁の「民」と自発性がある「族」という異質な語を纏めたのが「民族」という言葉だと思います。
そもそも、民族の「自称」は「アイヌ」「イヌイット」のように、その民族の土着語で動物から区別される「ヒト」を意味することが多いです。

02.『民族』の「他称」
ある特定の場所で、一つの民族が、他の民族と遭遇した場合はどうなるか。
そこには、当然、より早くからその場に居を定めた人々(先住民)とより遅かった人々(移民)、その場に居を定められない人々(難民)がいます。
食べ物などが双方の民族にとって潤沢にあり、双方の関係が友好的に推移することも稀にはあります。
▲でも、多くの場合は、縄張り争いが起こり、力の強い民族が弱い民族を支配し、または放逐します。
ギリシャ語の「ディアスポラ」とは《散らされた者》の意味で、当初は、バビロン捕囚後にユダヤ人が異邦人の土地へと離散したという聖書の記述に由来し、離散して故郷パレスチナ以外の地に移り住んだユダヤ人とその子孫の共同体を指しました。
しかし、後には広義に〈元は同じ場所に住み一つの文化を形成していたがその後は各地へ移住し、または移住させられた状態にある者〉を指します。

「少数民族」とは、多数派を占める民族と比較した言葉ですが、先住民が少数派の場合、数で、時には力で圧倒する多数派への対応は、様々です。
シベリアに住んでいた少数民族は、ロシア民族に追われて、戦うことなく東へと逃れました。
北米の先住民族は、当初は、後進の西欧の民族と友好関係を維持しましたが、最終的には戦うこととなり、敗れました。
従って、民族の「他称」は「自称」の場合とは異なります。
▲中国では周辺の異民族の呼び名を、古代の南蛮、北狄をはじめ、猺(ヤオ)、獠(リャオ)、獞(トウ)、猓玀(ロロ)、蛋民(タンミン)などのように、獣や虫の意を加えた蔑称で呼んた長い歴史がありましたが、このような思考は自民族中心主義と呼ばれ、人類社会に普遍的にみられるものです。
現状の国家と「人口」と「民族」の多少で分けると、以下の通りです。
多人口国家(中国:インド:アメリカ):少人口国家(バチカン市国)
多民族国家(インド:パプアニューギニア:インドネシア:ナイジェリア:アメリカ:パキスタン:メキシコ)
単一民族高度国(北朝鮮:日本:中国:エジプト:韓国:ハイチ:トルコ)
単一民族高度国
▲多民族国家には多数民族と少数民族とがいます。
多数民族が先住民族の場合には、移民問題がおこります。
逆に、多数民族が移民の場合には、先住民族=少数民族問題がおこります。
但し、先住民族とは、相対的なものです。米国では、少数民族問題があり、移民問題もあります。
私達にとって、『民族』という言葉を我が身に置き換えて考えるほどには、あまり身近ではありませんでした。
その原因として、日本は、単一民族度が高いことが考えられます。
「日本人」とは、「日本国の国籍を持っている人」です。
中国人、米国人、英国人、然りで、中国、米国、英国の国籍の保有者です。
ただ、そこに住んでいる人の意識では、スコットランド人、カタルーニャ人などの場合もあります。
さらに、国境をものともせず、自由に移動する「跨境、跨界民族」さえいます。
日本人が日本に住むことになった理由は、流れ流れて、ユーラシア大陸の東▲の果てに、やってきたからです。
ですから、日本人が外国の国籍を取った場合には、日系米国人、日系ブラジル人など、日系の帽子を被ります。
ネット社会で世界が狭くなった中で、『我々』という同族意識をどの範囲まで拡げて持てるか、が新しい課題です。

03.アイヌ民族
私達の『民族』の捉え方に関して、今年から事情、印象が変わりました。
「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」が制定され、「日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族であるアイヌの人々」と明記され、「先住民族」が初めて公用されました。
「アイヌの人々」とは「アイヌ(民族)の人々」という意味です。
『民族』の定義のうちで、同じ言語を話すことは重要な要素です。
そして、その言葉は、文字として記されている場合は、文字を解明することで、『民族』の出自、歴史を読み解くことも不可能ではありません。
▲しかし、文字を持たない民族の場合には、それは大変困難です。
アイヌ民族は、日本列島に諸民族が到達した六つの波の第一波としてやってきたと言われていますが、アイヌ民族は文字を持たない民族でした。
文字がない場合、その出自、仲間の所在を言葉から調べることになりますが、言葉も、人々が山々などの自然で分断されていると、お互いの接触が少なく、言葉も方言となって伝わりにくくなります。
英国人宣教師で「アイヌの父」とされたジョン・バチェラーがいました。

彼は、アイヌ研究にも携わり、アイヌの話す言葉をアルファベットに置き換え、「新約聖書」を訳出しました。
しかし、残念なことに、その聖書は、アイヌ語らしく聞こえるのですが、別の村に住むアイヌには全く分らなかったそうです。
青森県でも、津軽弁と南部弁では、かなりの違い、当然とも言えます。
そのアイヌ語は、今や、沖縄語、八丈語などともに、日本の八つある消滅危機言語の一つとなっています。▲
アイヌ語について、興味深いことがあります。それは、数の数え方で、減数法という独特なものです。
簡単に言うと私達は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10と、それぞれ全く別の数と把握しますが、アイヌ語の場合は違います。
簡単に言うと、1、2、3、4、5、6=10-4、7=10-3、8=10-2、9=10-1、10という風に数えます。
6以降は、ロケット打ち上げ時の秒読みのようです。
これは東京理科大学准教授、アンナ・ブガエワさんの指摘です。
ジョン・バチェラーの「新約聖書」にも、数々の数詞が記載されています。
それらを纏め、五千の言語の1~10の数詞を掲載しているサイトで調べた結果、北米先住民に同様の数詞があることが確認出来ました。
他方、アイヌ=沖縄同祖論があるものの、数詞に関しては、北米先住民と同様の傾向は見られませんでした。
アイヌ民族と北米先住民との関連について、様々な研究が進んでいますが、数を数えるという人間ならではの行為と▲発想からも、各民族どうしの関係性を推し量ることが出来ます。
幸いなことに、中国西南民族に関しては、言語学的に分っていることが多く、また、言語によって民族を区別出来ることが多いため、以下では、語族という形で民族をみていきたいと思います。
04.参照データ
今回参照したデータの多くは、学者、宣教師の著したものです。
学者も、宣教師も、対象物に対してやむにやまれぬ情熱の持ち主です。
学者は、調査する少数民族の住む村に長期間泊まり込んで、研究します。
宣教師は、まだキリスト教の教えが届いていない人々を隈なく探し尋ねて、布教に励みます。
それは、まるで医者が不治の病の患者に、手を差し伸べるようです。
遠くは、フランシスコ・ザビエル然り。
近くは、布教を止められたにも関わらず、長助夫婦に布教したキリシタン屋敷のシドッチ神父を見ても、心の病を癒やす医師としての宣教師の強い▲使命感を感じます。
そのデータは学問的に未熟かも知れませんが、心して見る価値はあります。
参照したサイトの中に、「ヨシュア・プロジェクト」というキリスト教布教のためのサイトがあり、布教を志そうとする宣教師を募集し、その方々に情報を発信しているサイトで、その一部を参照させて頂きました。
その性格上、非定住の一部民族については苦手ですが、合計民族数は17,000超で、データも豊富です。
また、これらのデータの多くは、英語、中国語で書かれています。
そこで、今回、グーグル翻訳を併用して読み込んでみました。以下、
「02.西南民族関連の諸学説」
「03.西南民族の分類と分布」
「04.西南民族の歴史と習俗」
「05.西南民族の「指路経」
「06.彝族の分類と分布」
「07.彝族の歴史と習俗▲」
「08.彝族の「指路経」
「09.資料篇」
と順を追って説明していきます。

★参考資料[○○]の部分をクリックして御覧下さい。
目次

[ アイヌ民族の数詞 ]

[ 宣教師ジョン・バチュラー翻訳のアイヌ語聖書:マルコによる福音書 ]

[ 司馬遼太郎 街道をゆく ]

[ ヨシュア・プロジェクト ]

[  Numbers from 1 to 10 in Over 4000 Languagesー 4000 個以上の言語での 1 から 10 まで▲   ]

[ 西山豊 「指で数える」 ]

★[○○]の部分をクリックし、次の画面にお進み下さい。

[02. 西南民族関連の諸学説 ]

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[ 中国西南民族と指路経    ]

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