中国とナイジェリア:2.ナイジェリアとは |
第二章:ナイジェリアとは 1.ナイジェリアの概況 ①ナイジェリアは、西アフリカの国です。 隣国は、北にニジェール、西にベナン、東にカメルーン、 南はベニン湾(一時的にはビアフラ湾)です。 人口は、214百万人、面積は92万平方キロ、日本の2.44倍です。 ★資料: 2001 西アフリカ:中央アフリカ:サヘル 2003 西アフリカ地図 ![]() ![]() ②国の形は、私には、左を向いた子供のライオンに見えます。 ★資料: 2004 ナイジェリア地図帳地図 2005 ライオンの子供の顔 ![]() ![]() ![]() 国章では、二頭の馬が抱えて盾に、アルファベット「Y」の字 があります。この「Y」の左上は、ニジェール川、右上は、 ベヌエ川で、これらの川が合流し、ベニン湾に注ぐ形です。 この字には、本来、両方の川に国の骨格となってほしい、と の願いが込められていましたが、皮肉にも、現実は過去から 現在に至るまで、国民を分断するものとなりました。 ★資料: 2006 ナイジェリアの国章 ![]() ③政体は州の権限が大きい連邦制をとっており、首都アブジャ のほかに36州あります。 中華人民共和国が連邦制をとっていないのと対照的です。 ★資料: 2007 ナイジェリア36州(除く首都アブジャ) 2008 共和国と連邦 ![]() ![]() ④産業 1960年代において、農業はGDPの60%を占める主要産業でした。 労働人口の7割以上を占め、北部の落花生、西部のカカオ、 東部のパーム油、他には綿花、ゴムなどが産出されていました。 落花生、カカオ、パーム油は、三大輸出農産物でした。 1956年にニジェールデルタ地域で、低硫黄石油の油田が 発見され、掘削され、1965年には石油が項目別輸出額で 第一位となり、内戦を挟み、1970年には総輸出額の57.6%に 達し、1973年~1974年のオイルブームを迎えました。 1970年~1978年に連邦政府歳入が12.7 倍に増えるという 異例の事態となりました。 そういう中で、政府要人による汚職、 不正、弾圧が強まることとなりました。 他方、原油生産開始に伴い、工業化政策が取られたため、 農業部門は1970年代から衰退し始め、農業はGDPの21%にまで 落ち込み、農産物輸出国から輸入国に転じました。 都市での工業化進展の一方、多くの従事者を抱えた農業の 停滞で、所得格差が激しくなっています。 因みに、世界のお金持ちのランキングを報じるサイトが あります。 これによると、上位500人の中に、ナイジェリア人が 一人含まれています。アリコ・ダンゴテ氏で、実業家です。 10のグループ会社を持ちアフリカ14カ国でビジネスを展開。 石油精製・化学・肥料プラントのプロジェクトを進めています。 政府とも親密な関係を持ち、不正疑惑、大統領選への資金援助 など、話題も多い人物です。 彼の祖父アルハッサン・ダンタタは、コーラ、落花生の交易 で財を成しましたが、主要産業の移り変わりを反映しています。 主要品目輸出入の表から、原油輸出額が総輸出額の79.4%、 植物性生産品の輸入額が輸出額の3倍、動物性生産物の輸入額が 輸出額の5倍超と読み取れます。 ★資料: 2010 ナイジェリア産業別GDP 2011 ナイジェリア主要品目輸出入 ![]() ![]() ★★サイト紹介 [ Bloomberg Billionaires Index (世界の億万長者ランキング ] [ サイト名 ]部分をクリックして下さい。 ⑤治安状況 ナイジェリアは半世紀前の内戦、その後、相次ぐ軍事クーデターと 軍事政権の時代を経て、1999年以降、第四次共和制の時代が続き、 多様な語族による連邦維持に努めています。 しかし、語族の相違、宗教の相違、所得格差など、数多くの問題 を抱えています。 加えて、イスラム教とキリスト教の分断、イスラム州でのシャリーア法 (イスラム法)の採用、イスラムの聖戦と称するボコ・ハラム運動 (「西洋の教育は罪」の意味)などの問題も抱えています。 2014年の北部カツィーナ州での300人の女子生徒拉致事件、 2020年の北東部ボルノ州での300人の男子生徒拉致事件など記憶に新しいところです。 現在、ナイジェリア全土は、渡航注意情報が出されています。 資料: 2012 ナイジェリア36州分類 2013 イスラム:クリスチャン 2014 Middle Belt 2015 外務省危険情報 ![]() ![]() ![]() ![]() ★★サイト紹介 [ 外務省海外安全ホームページ:ナイジェリア テロ&誘拐情報 ] [ サイト名 ]部分をクリックして下さい。 他方で、これからのナイジェリアへの期待も大きいです。 [ 変革期のナイジェリアに今こそ視線を(ナイジェリア)] [ サイト名 ]部分をクリックして下さい。 最近のニュースとして、ヌゴジ・オコンジェイウェアラ氏の世界貿易機関(WTO)の次期事務局長就任確定があります。 これは、難問を抱えながらも、ナイジェリアの国際社会の舞台で活躍が期待されている面を示しています。 彼女の素顔を次の通りです。 ヌゴジ・オコンジェイウェアラ氏 ナイジェリア南部:デルタ州オグワシ=ウクに生まれる(イボ人)。 父のChukwuka Okonjo教授は、数学者であり経済学者であり、その地方の王家の王だった。 イバダン大学を卒業後、アメリカ合衆国に留学。ハーバード大学で修士号を、マサチューセッツ工科大学で博士号を取得した。 イケムバ・イウェアラと結婚し4人の子供がいる。 こんな報道があります。 『女性で初めてWTO事務局長に就任へ 米政権が強く支持』 ワシントン=青山直篤:2021年2月6日 15時02分 バイデン米政権は5日、世界貿易機関(WTO)の次期事務局長として、ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ元財務相(66)の選任を「強く支持する」と表明した。 トランプ前政権はこの人事に反対していたが、米国が態度を変えたことで、同氏の選出が確実となった。 WTOトップに女性やアフリカ出身者が就くのは初めて。WTOは近く一般理事会を開き、選任する見通しだ。 米通商代表部(USTR)は声明で、世界銀行幹部などを務めたオコンジョイウェアラ氏について「経済、外交分野で豊富な知識をもたらす」と評価。 「バイデン政権は新しい事務局長とWTOに必要な改革に向けて協力するのを楽しみにしている」と表明した。 米国では、WTO加盟後に急速に台頭した中国による知的財産侵害や産業補助金などの問題につき、WTOが対応できていないとの不満が党派を超えて強い。 トランプ前大統領はWTO脱退すらちらつかせる高圧的手法をとった。 これに対しバイデン政権は今回の人事でも、既存の国際的な枠組みへの積極的な関与を通じて改革を求めていく姿勢を示し、違いを際立たせた。 ![]() ![]() 2.ナイジェリアの気候帯と人口密度 紀元前6000年~4000年頃までは、現在のサハラ砂漠も緑の 平原でしたが、紀元前2500年頃以降、地球規模の冷涼化 に伴い、砂漠の乾燥化が進み、現在に至っています。 アフリカでは、サハラ砂漠より南の地域全般を、サハラの 下にある意味でサブ・サハラと呼んでいます。 因みに、サハラ砂漠は東西五千キロ、中国国土の東西と ほぼ同じ距離があり、広大な地域です。 ★資料: 2016 サヘル地帯 ![]() ナイジェリアの気候は、サブ・サハラを南下するにつれ、 ①.サヘル・サバンナ、②.スーダン・サバンナ、 ③.ギニア・サバンナと、乾燥したサバンナ地帯が続き、 ニジェール川、ベヌエ川の川沿いまで含まれます。 ④.その中の一部の高地は、山岳森林地帯です。 更に、⑤.サバンナ・森林混在地帯を経て、 ⑥.霧雨森林地帯、⑦.マングローブ・海岸森林地帯 へと続く多様な気候帯となっています。 サヘル・サバンナ~スーダン・サバンナの拡がる地域は 横筋ジャッカルが生息する乾燥した大地です。 ★資料: 2017 ジャッカル 2019 ナイジェリアの植生 2020 高度分け地図 ![]() ![]() ![]() 題名は「おしゃれなハイエナ」で、登場するのは、ジャッカル、ハイエナ、ホロホロ鳥です。 魚捕りが苦手はジャッカルは、日照り続きで沼が乾いたお陰で、今までにないほど、魚が捕れました。 自分だけでは食べきれないので、通り掛かりにも振る舞おうと、三匹を道に放り上げました。 そこに通ったのが、腹ぺこのハイエナです。始めは、ジャッカルにビクビクしていたものの、 ジャッカルの勧めで、魚を口にしました。 その美味しいこと! ハイエナは、無我夢中で食べ、三匹では飽き足らず、ジャッカルが捕った魚を全部平らげました。 それを、木の上から呆れて眺めていたホロホロ鳥は、「キルカ、キルカ」と鳴きました。 満腹のハイエナは、木の上のホロホロ鳥の美しい羽を眺めて、尋ねました。 「その羽、素晴らしいね!そんな素敵な着物、誰に作って貰ったの?」 魚全部を食べられ、いまいましく思っていたジャッカルは、すかさず言いました。 「僕がつくったのさ。簡単さ。君にも作ろうか?」 ハイエナは、自分のくすんだ毛皮を、恥ずかしそうに眺めました。 「灰色一色では淋しいね。着物が欲しいなら、ナイフと白い土を持って来なよ。」とジャッカルは言いました。 それを聞いて、ハイエナは一目散に山に戻り、とって還りました。 ハイエナの帰りを待つ間、ホロホロ鳥は、ハイエナの無遠慮な態度に呆れたと、ジャッカルに話掛けました。 「少し懲らしめてやりなさいよ。」 「そうだな。痛い目にあわせるか。」ホロホロ鳥とジャッカルは、顔を見合わせ、にっこり笑いました。 そこて、ハイエナが、ナイフと白い土とを咥えて、あたふたと戻って来ました。 「探し廻ってやっと見つけた。よろしくお願いします!」 「ちょっといたいけど、我慢してね。」 そう言うと、ジャッカルは、ハイエナの毛皮のあちこちに、白い土を塗りたくりました。 そして、そこらじゅうに、ナイフを突き立てました。 ハイエナは、一生懸命我慢し、小さな呻き声を上げました。 でも、ジャッカルは知らん顔、ナイフを突き立て、満足して言いました。 「さーて、乾くまで寝転んで休んでいるといいよ。」そう言うと、足早にその場を離れました。 木の上のホロホロ鳥は、可笑しくて、可笑しくて。笑いを堪え、「キルカ、キルカ」と鳴きました。 ハイエナの傷は治りましたが、その時以来、ぶちのまだら模様の毛皮になった、とさ。終わり。 各州の相対的人口密度は、別紙の通りです。 北部のカノ州を除いて、旧首都ラゴス市のあるラゴス州、 ニジェール、ベヌエ両川の合流部以南は高人口密度です。 ラゴス州は、ビルの高層化もあり、人口密度が高い東京 などと同じ理由での高密度は分かりますが、東部中央地区 所在のアナンブラ州、イモ州の人口密度は、バングラデシュ、 パレスチナと同じ程度と言えます。 ★資料: 2021 州別人口密度7分類最新図+α 2024 国別地域別人口密度ランク ![]() ![]() |