kantaiji80


        08.文字の将来



第八節:文字の将来
目次
★参考資料[○○]の部分をクリックして御覧下さい。

1.ピンイン(拼音)
2.耳慣れない発音
3.ピンイン順一覧表
4.耳から入る学習法
5.文字の将来

1.ピンイン(拼音)

今まで、簡体字を新字体(漢字)に読み替えることを検討してきましたが、 繁体字を簡体字に簡化する際、形声字の例が多いことを実感出来ました。

次に聳え立つのは、簡体字の発音の壁の一つ目、ピンイン(拼音)です。
ピンインは、中国語で音節を音素文字に分け、注音符号(ボポモフォ)ではなく、アルファベットで表記し、声調符号を加えた発音表記体系です。

具体的には、①声母(音節頭部にある子音=いわゆる子音・ない場合も)、②韻母(いわゆる母音)、③声調(五声)です。 そこで①子音=25種類、母音=46種類のリストを作成しました。

次に、②声調(五声)です。五声と呼ばれる声調符号が使われますが、これが極めて難しいです。
この五声を「黒白影絵的ピンイン」として表示してみました。

[ 「ピンイン数値表+黒白影絵的ピンイン」 ]右サイドノブを上下願います。)



「ピンイン数値表+黒白影絵的ピンイン」 声調(五声)の表示方式は、声の昇降をアルファベットに付加する「ピンイン方式」( ̄:́:̌:̀:など )と、それを1~5の数字で表示する「簡易方式」とがあります。
慣れれば「簡易方式」の方が便利です。

「ピンイン」には、声の高低・昇降の違いで、全く別の意味となってしまう怖さがあります。
中国語を学ぶ上での第一歩であり、最初の躓き石でもあります。

2.耳慣れない発音

簡体字の発音の壁の二つ目は、耳慣れない発音です。
中国音韻学上には、音節初めの子音が、無声音・有声音、無気音・有気音・その他という五音の区別(清濁)が残っているそうです。
でも耳慣れない者に「ほ」「ぽ」「ぼ」などを聞き分けることは困難です。
私は白酒(bai2 jiu3=バイジュー)は「パイチュウ」と思っていました。

3.ピンイン順一覧表

ピンイン数値表にピンインの声調番号=5種類で、対象リストに計上した1425字の各々に番号付けし、ピンイン順一覧表を作りました。
一覧表の設欄は以下の通りです。

①簡体字のピンイン数値番号
②対応の新字体(漢字)
③簡体字+発音符号
④新字体での熟語+ピンイン
⑤対応の繁体字
⑥新体字+簡体化原則

④新字体での熟語+ピンインについては、今後、拡充していきます。
対象の1425字を番号順(アルファベット順が原則)に並べたものが、以下のピンイン順一覧表です。

★以下の[ 総括表本表 ]部分をクリックして御覧下さい。

[ ピンイン順一覧表 ]

この一覧表から、同じ発音の違った字を見ることが出来ます。
英語などを簡体字で表わす仮借字への理解が進むかも知れません。
また発音を学ぶ上で、簡体字に対応する「新字体での熟語+ピンイン」欄が面白いかも知れません。

4.耳から入る学習法

学習法も時代によって変わります。語学の学習も、目からの学習重視から、耳からの学習へと変わって来ています。
目からの学習内容も、スマホが普及している現在、大きく変わりました。
豊明市NPO外国人:学齢前教育法は聴覚を優先して効果をあげています。

また、従来から簡体字しか使って来なかった中国の若者の一部は、繁体字を使うことが格好いい(E)と思われるようになりました。
その理由は、既に聞き覚えのあるピンインのアルファベットで、スマホ(智能手机)に入力すると、簡体字、繁体字とも画面に出力出来るからです。

①.古来型語学学習法

1.視覚  →  読解
  2.聴覚  →   理解

②.豊明市NPO外国人:学齢前教育法

1.聴覚  →  理解
  2.          視覚 →  読解

  ③.スマホ利用による中国語学習法

1. 聴覚(既修)→ スマホ(アルファベット入力) →  視覚
2. ピンイン        翻訳             簡体字
  3.                            繁体字

スマホに関して以下のような記事が掲載されていました。
簡体字の文章と、資料偏17番のグーグル翻訳での訳文は以下の通りです。
グーグル翻訳では、マイクで発音も聞くことが出来すので、お勧めです。

[ 安倍晋三首相とスマホ ]右サイドノブを上下願います。)



5.文字の将来

文字には長久の歴史があります。

日本でも、繁体字の簡化と同じような動きはありました。
古くは、仮名文字の使用です。

近くでは、太平洋戦争後のGHQの発案で「漢字が多く覚えにくく、識字率が上がらず、民主化が遅れている」との偏見で、日本語をローマ字表記とする計画がありましたが、日本の識字率が97.9%と高かったため、未実施となりました。

同じ時期に、漢字の簡素化と平明さを目指して、戦前から議論された正字(繁体字)の一部の略字が「当用漢字」として公布実施され、新字体として使われるようになり、後継の「常用漢字」となった経緯があります。

中国の繁体字の簡化、そしてアルファベットでのピンインの普及、この二つは大きな成果をもたらしました。
年少時よりアルファベットに慣れ親しんだ子供達は海外に羽ばたきました。
そして、海外から海亀として中国に戻った若者も数多くいます。

幸いなことに、日本には表意文字の新字体(漢字)と表音文字の仮名文字とが併存しており、海外の言葉も巧みに取り込んでいます。
海外の人でも、表音文字に飽き足らず、漢字に興味を持つ人がいます。
また、新しい会意文字の作成など、実験企画も行われています。

[ 創作漢字コンテスト ]

他方、漢字は「脳トレ」にも大変有効で、簡体字に関してこんな謎々がありました。「この字ってナンダ(50个经典字谜)?」

[ 「この字ってナンダ(50个经典字谜)?」 ]右サイドノブを上下願います。)



最近の傾向に、絵文字の流行と、ユニバーサル・デザインがあります。
世界で、最近一番流行っている絵文字は、

「  ̄\_( ツ )_/ ̄ 」

意味は、お手上げ状態、ということです。
(ツ)が両目と歪めた口です。

栗田穣崇氏が開発した絵文字「emoji」は、中国でも流行っています。

絵文字=emoji

艾芬=Affin

中国自身の絵文字も見つけました。

[ 中国絵文字エンドロール」 ]

更に、「すべての視力の人が読める文字」を目指し、アルファベットと点字とを合体させたフォントも使われ始めています。

[ 「すべての視力の人が読める文字:『Braille Neue』」 ]

文字が読めると世界が拡がります。
話が通じれば、世界は身近になります。
その意味で、文字の将来の可能性は、大きく開かれています。

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[ 0. 教育漢字と簡体字    ]
[ 1. はじめに         ]
[ 2.中国の文字        ]
[ 3.対象とする漢字      ]
[ 4.漢字の成り立ち      ]
[ 5.簡体字成立の経緯     ]
[ 6.簡体化の種類       ]
[ 7.憶えたい簡体字      ]
[ 8.文字の将来        ]
[ 9.資料編          ]
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