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     05.西南民族の「指路経」



第五節:西南民族の「指路経」

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目次
★01.《 南西民族迴廊における民族移住と祖先崇拝:
《指路經》からの考察:張澤洪 廖玲 》
     詳しくは、第九節:参考資料をご覧下さい。
      著者:張澤洪=1955年生まれ、四川省大学道教宗教文化研究所教授:博士課程指導教員。
      著者:廖玲=1980年生まれ、四川省大学道教宗教文化研究所 教授助教授
      「大學中央大學基礎研究事業費特別企畫(2015年3月5日)」の段階的成果。
★02.上記著作中の西南民族の「指路経」の共通点
★03.上記著作中の西南各民族の「指路経」の 特長
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★01.《 南西民族迴廊における民族移住と祖先崇拝:
《指路經》からの考察:張澤洪 廖玲 》

西南少数民族の《指路經》は、葬儀の際に、御霊を送るための経典です。
それは、故人の魂を祖先の世界へ送る道を示しており、藏彝走廊、南嶺走廊に沿った西南各民族の移住の真の歴史を反映しています。

《指路經》は、原始的な信仰、儀式、祖先崇拝、各民族等の移住を表現する幾つもの含意、価値を具えています。
中国民俗学民族走廊学説理論の観点からの《指路經》の文化的意義こそは、「中華民族多元一体構造論」を強く裏付けるものです。

西南少数民族の《指路經》は、葬儀で、御霊の行く経路を指す経典です。
祭司は故人の魂に経路を指し示すことで、祖先のいる場所に返します。
《指路經》 の《 路 》とは、故人の魂を祖先のいる場所へと導く道であり、また、祖先がかつて暮らしていた放牧地から現在住む居住地への移住した道でもあります。

それは、西南各民族が、藏彝走廊、南嶺走廊に沿って移住した真の歴史をも反映しています。 《指路經》には、祖先の地に沿った山、川、大河の流れ、風土、人情などが記録されており、その魂の歩んだ経路が、民族が移住した歴史的記憶を指し示して居ます。

西南民族走廊の観点から各民族を考察すると、《指路經》により、民族走廊学説を更に推し進めることが出来て、これが、「中華民族多元一体構造論」を強く裏付けるものとなります。本稿では、《指路經》と民族走廊での民族の移住と、西南少数民族の祖先崇拝を読み解くために、新しい視点から検討します。以下概要です。

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★目次
★一. 中国西南部における《指路經》の類型と民族との関係
★二.《指路經》の儀式的物語と宗教的機能
★三.《指路經》は、西南民族走廊族群の移住を物語る宗教的な詩篇です。
★四.結語
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★★★四.結語 ★★★

《指路經》は代々受け継がれてきた口伝の経典であり、《指路經》が語るものは、各民族の祖先崇拝の感情と心を 反映しています。
歴史的には、藏彝走廊 、南嶺走廊に沿って移住した民族は、死後に祖先の地に帰る、という魂の概念を作り上げましたが、祖先崇拝の心理的表現です。
また、故人の魂が祖先の地に帰る、という観念の出現は、各民族がかつて経験した大規模な移住の経歴を客観的に反映しています。

《指路經》は、原始信仰、儀式の物語、祖先崇拝、民族の移住など、複数の含意と価値を持っています。西南少数民族の葬儀において、必ず故人に行くべき路を指し示し、暗黙のうちに、時節になれば、葉を落とし、根に帰る、という宗教的、及び文化的意義を意味しています。

《指路經》の中で、各民族の祖先の原始的住居に帰る旅程とは、祖先達が、藏彝走廊 、南嶺走廊沿いに移住し、その地を去った社会的記憶なのです。
現在の民族走廊学説と中華民族多元一体学説は、中国民族学の巨視的研究を支援する二大学説です。

巨視的観点 から、民族走廊での民族の移住を反映している《指路經》を分析するとともに、西南少数民族の文化の多様性と複雑さを明らかにします。

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★02.上記著作中の西南民族の「指路経」の共通点(番号は整理番号)

■009.★《指路經》の名称は西南部民族の様々な方言で異なります。

雲南省:路南県(石林彝族自治県)の畢摩(ビモ=原始宗教の祭司)金國庫が持つ《喀吉思》は、2100行に及ぶ《指路經》で、別名を《人生三部曲》と言います。故人を追憶し、魂を送り、魂を招く三つの部分です。
儀式の際、畢摩が《喀吉思》を読み上げ、故人の出来事、事績を述べます。
揚子江南部の彝族の祭譜 《譜拉書》も、《指路經》のもう一つの形です。★

010.★《指路經》とは、原始宗教の魂を送る経典であり、西南民族の地下世界への経路、故人の魂が地下世界へと向かう経路を示しています。★

011.★《指路經》は、経路伝いの山と川、地方の習慣、人情の真実等を記載しています。祭司たちは、故人を祖先のいる場所へと導くとともに、かつて祖先が辿った経路を思い起こさせてくれます。

★ 092.★5.《指路經》の御霊送りにより、故人の魂は先祖と出会い、ともに後代の世代を守ると信じられています。

英国の人類学者マリノフスキーは、次のように述べています。
「文化的に価値ある信念は、人々に永遠の命を信じさせ、精神の別の存在を信じさせ、死後の肉体から離脱した生命を信じさせます。
宗教は、人々の救いへの信念、あらゆる種類の葬儀、儀式、故人との交流のための様々な儀式、そして、先祖の崇拝などを通して、豊かに、具体的に、そして他からは分りにくいものになる。」と。★

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★03.上記著作中の西南各民族の「指路経」の 特長

★参考資料[○○]の部分をクリックして御覧下さい。



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