『 餃子に見る食文化の伝播 』 


さて、最後に食文化の伝播の一例として、慣れ親しんだ「餃子」を見て行きたいと思います。

餃子は、既に述べてきた通り、祭事食です。その歴史は古く、紀元前6世紀頃に、山東地域で誕生した、と言われています。

更に、唐代の墳墓の壷の中から、餃子が乾燥状態で発見されています。

また、餃子は戦闘食としても重宝されました。軍隊が行く所に、餃子あり。
そのせいもあり、餃子は、発祥の地、山東地域から東西南北に拡がっていきました。

紀元前7000年頃に、肥沃な三日月地帯で始められた小麦栽培は、紀元前3000年前には中国にもたらされていました。

小麦粉の加工品である餃子は、今度は、この道を逆に辿り、西へと進み、また、東に、北に、南に拡がっていきました。

餃子は、肉、エビ、野菜などで作った具を小麦粉を原料とした皮で包み、茹でたり、蒸したり、油で揚げたり、焼いたりした食べ物で、それぞれ茹で餃子(水餃子)、蒸し餃子、揚げ餃子、焼き餃子と呼ばれています。

「茹でる」とは食品を沸騰させた水=湯の中で加熱する調理法、「蒸す」とは、蒸気を使って加熱する調理法、「揚げる」とは多量の高温の油の中で食材を加熱する調理法「焼く」とは、火で直接食品を加熱する調理法です。
「蒸し焼き」とは、「焼き」の中でも、食品を密閉容器に入れ、加熱する調理法です。

元祖の中国の餃子は、茹で餃子(水餃子)です。

東では、韓国の「 マンドゥ(蒸し) 」、北朝鮮の「 ジャガイモ餃子 (蒸し)」、日本の「 羽根付き餃子(蒸し焼き)」となりました。

北では、モンゴルの「ボーズ(蒸し)」、モンゴルの「バンシ(茹で)」、ロシア・ブリアート共和国の「ブーザ(茹で)」、ロシアの「ペリメニ(茹で)」となりました。

南では、ネパールの「モモ(蒸し)」、インドの「サモサ(揚げ)」、ウズベキスタンの「「 マントゥイ(蒸し) 」、エジプトの「サンブサ(揚げ)となりました。

西では、グルジアの「ヒンカリ(茹で)」、トルコの「 マントゥ(茹で) 」、レバノンの「サンブサ(揚げ)」、イスラエルの「クレプレハ(焼き)」、ウクライナの「 ヴァレーニキ(茹で) 」、イタリアの「ラビオリ(茹で)」、スペインの「 エンパナディージャ(揚げ) 」、ドイツ 「 マウルタッシェン(茹で) 」、ポーランドの「ピエルク(茹で)」、リトアニアの「ゴルドゥーナイ(茹で) 」となりました。

最後に、これら餃子の分布、具と味付け、伝播のルートを見てみます。

ご精読、有難うございました。

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