『 中国の八大料理・四大料理 』 |
国立国会図書館デジタルコレクションに、明治20年(1887年)に発刊された
「当世料理法」という書籍があります。 この書籍は、明治となって西洋人と比較し、身体軟弱、忍耐の気象(気性)に乏しいが、 それを改善するためには、肉食改良が必要である、との考えから書かれたものです。 西洋料理の記載があるほか、支那料理、朝鮮料理の簡単なレシピが掲載されています。 そのメニューの多くは、穀物に若干の魚、肉を添えた程度の伝統的な料理で、宮廷料理ではありません。 「獅子」、「飛龍」という勇ましい名前もありますが、「獅子=蛸」、「飛龍=鯉」です。 両国で共通なのは、支那料理の「饅頭」、朝鮮料理の「マンヅウ」です。 これらの料理は、日常に供されていた訳ではなく、所謂「祭事食」だったと思われます。 時代下って、中国でいう中国八大料理、中国四大料理、日本でいう中国四大料理を見ていきます。 これらは、もはや宮廷料理の類いです。 日本での四大料理とは、国際料理としての北京料理、上海料理に加えて、広東料理、四川料理です。 東方系=上海料理、西方系=四川料理、南方系=広東料理、北方系=北京料理、とも言えます。 広東料理、四川料理は、中国での四大料理にも含まれています。 また、中国で五大辛い料理があります。八大料理に含まれるものとして、四川料理、湖南料理、 それ以外として、重慶料理、貴州料理、江西料理があります。 なぜ辛い料理が多いのか? それは、これらの省市の気候に関連があります。 以前に見たように、これらの多くは、高湿度の省市です。 更に、これらの省市は、四川盆地など盆地にあり、フェーン現象で、高度が百メートル下がる毎に、 気温が一度上がる、と言われています。 それによる高い体温を下げるために、汗をかく必要がありますが、湿度が高く、 自然には汗が出ません。 そこで、唐辛子、山椒などの刺激物を採ることによって、汗を出す必要があります。 辛いものを食べることは、体のために、理に適っています。 地図の上でも、その風土、気候が食文化に影響を与えている一例だとわかります。 因みに、唐辛子、生姜は中国原産のスパイスです。 |
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