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   7.稷下の学士



第七節:稷下(しょくか)の学士

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 韓非子を語る上では既に触れた法家の思想と彼の師である荀子が唱えた「性悪説」とが重要です。

荀子は、稷下の学士の一員です。

 稷下の学士は、中国の戦国時代、齊の国都、臨淄(りんし)に集まり活発な議論を展開した学者達です。

戦国時代の略歴は以下の通りです。
①.三家分晉から魏の興隆と衰退
②.縦横家の暗躍と燕楚韓の衰退
③.趙・秦・齊から齊・秦二強へ
④.秦の進撃と復活燕と齊の攻防
⑤.秦による一強国時代の始まり
⑥.秦の他国併呑と中国統一

歴史の中で、魏、齊、秦の興隆を支えたのが積極的な人材登用です。

 まずは、晉から分裂した三家の一つ、魏の文侯の時代で、その下に、孔子の弟子の子夏を初め縁のある人物が多く集まりました。
子夏の弟子である李克、段干木、孔子の孫弟子の呉起、迷信打破に尽力した西門豹、田子方などです。
但し、文侯は実務家を求めたため、本来は儒家であった李克、西門豹も法家となる必要がありました。

 続いて、商業が盛んな齊の威王、宣王、湣王(びん)、襄王(じょう)の四代の時代です。

宣王は学問を奨励、諸国から学者を集める一方、商工業振興で富国強兵し、孟子の献策で燕征圧を試みましたが失敗、弟の田嬰、その子孟嘗君を重用し、齊・秦二強時代へ道を開きました。
湣王は宋を滅ぼし、燕・楚を攻め支配下に置き、齊・秦二強時代を作出し東帝を名乗るも、燕の楽毅に瀬戸際まで追い詰められ、最期は楚の将軍、淖歯に殺されました。
襄王は潜伏を見出され、王となりますが、田単が即墨で燕を撃破して、齊の旧領をすべて回復しました。

 齊の国都、臨淄には十三の城門があり、その西門の一つ、稷門の近くで、諸国から集められた学者に邸宅を与えられていたことから、「稷下の学士」と呼ばれ、資金が支給された上、学問・思想の研究や著述に従事することが出来ました。

魏の場合と異なり実務から離れた学問も盛んに行われました。
 史記:三十世家:田敬仲完世家には以下の記述があります。

「宣王十八年:宣王は、文学遊說の士を好み、鄒衍、淳于髡、田駢、接予、環淵、慎到など学者七六人は、上級貴族に列せられ、議論が止むことは無かった。 このように齊の『稷下の学士』は復活、盛んになりその数、数百人となった。」

 その前期には道家・法家の慎到、政治家の淳于髠、道家田駢、接予、環淵、墨家系列の道家宋銒、尹文、名家の兒説、兵家の孫臏がいます。

後期には、陰陽家の鄒衍、名家の公孫龍、儒家の荀子などがいます。

孟子は「稷下の学士」前期の世代で、齊を訪れ、宣王の師の扱いを求めましたが、荀子は孟子より六十歳ほど年下の「稷下の学士」後期世代で、五十歳の頃、宣王の二代後の襄王に迎えられて、長老となりました。

稷下の学士の主要メンバーの概略は以下の通り。(中国のサイト:百度百科)

慎到(しんとう):趙(228年滅)の人。(390~315):法家。

[  慎到 ]

淳于髠(じゅんうこん):齊(221年滅)の人。(386~310):政治家・思想家。

[  淳于髠 ]

田駢(でんべん):齊(221年滅)の人。:(370~291):道家。

[  田駢 ]

接予(せつよ):齊(221年滅)の人。:(?~?):道家。

    環淵(かんえん):楚(223年滅)の人。:(?~?):道家。

[  環淵 ]

兒説(げいえつ):宋(286年滅)の人。:(?~?):名家:白馬非馬論《 韓非子· 外儲說左上 》

[  兒説 ]

宋銒(そうけい):宋(286年滅)の人。 (370~291):道家(墨家系統)《宋子》

[  宋銒 ]

尹文(いんぶん):齊(221年滅)の人。(360~280):道家(墨家系統)

[  尹文 ]

孫臏(そんぴん):(?~?)齊の将軍、兵法家。

[  孫臏 ]

鄒衍(すうえん):齊(221年滅)の人。(324~250):陰陽家。

[  鄒衍 ]

公孫龍(こうそんりゅう):趙(228年滅)の人。(320~250):名家。

[  公孫龍 ]

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